表現のつまみ食い

表現のおいしいところをつまみ食いするエッセイです。

かぐや様は可愛い(かぐや様は告らせたい)

 可愛くない。どうもこのキャラクターが可愛くない。偏屈で意地っ張りで、見ているのが辛い。そんなことを考え、何度かやめてしまおうか考えた。

 そんなことを思っていたら最終回。今なら言える。このキャラクターは可愛い。

 

 恋愛は戦いである。告白をすれば、告白された相手の言いなりになる。すなわち告白したものは敗北となる。それが「かぐや様は告らせたい」のコンスタントな部分である。

 そしてメインヒロインである四宮かぐやも、そのような考えで日常を過ごす。何かと想い人の揚げ足を取り、隙があれば好意を言わせようとする。彼女にとってこの嫌がらせみたいな攻撃は、アプローチ行為なのである。

 

 そんな嫌がらせのようなことをやっているが、断じて想い人を嫌うわけではない。むしろ好きなのである。誰よりも好きだが、自分の口からは「好き」とは言わない、いや言えない。言ってしまったらこの戦いは一生敗北なのだから。

 そんな葛藤が時として窮地に陥ることもある。そんなときに出されるボロがまた可愛いのだ。普段は凛としているせいか、ギャップにやられてしまう。些細なことだが、そんな話が印象に残っている。

 

 話数を重ねるごとにどんどんと印象が操作されていた。そして気がつけば可愛いキャラクターとなっていた。ここまで来ると新しい境地に辿り着いてしまった。