表現のつまみ食い

表現のおいしいところをつまみ食いするエッセイです。

国府津車両センターの運用概要

 2015年、東海道線上野東京ライン開業を機に大きな変貌を遂げた。日中時間帯は全列車が都心を越えて南北を行き交い、E231系E233系の運用区分を無くした。過去の運用を振り返りつつ、東海道線運用を中心とする「国府津車両センター」の運用を見ていきたい。

f:id:tk-shirasuphoto:20200413115201j:plain

 

所属車両

 現在、東海道線普通列車は、沿線に車庫を構える国府津車両センター国府津)の車両と直通を行う宇都宮線高崎線を担当する小山車両センター(小山)の車両で運用されている。国府津を主体とし、直通で来る小山は補助的といったところだろうか。

 それぞれ所属区にE231系E233系が配備され、基本編成10両と付属編成5両が存在する。国府津ではE231系が基本のK編成と付属のS編成、E233系が基本と付属の両方をE編成と総称している。編成構成は基本と付属を合わせた15両編成や基本編成のみの短い10両で運転を行い、逆に付属編成単独での運用は希少だ。車種ごとの運用の制約はなく、全列車共通運用となっている。そのため基本と付属の組み合わせが一概に同車種とは限らず、基本がE233系で付属がE231系のことも考えられる。

 上野東京ライン開通以前は田町車両センター(田町)も担当していたが、高輪地区再開発に伴い車両基地閉鎖で国府津に統廃合された。

f:id:tk-shirasuphoto:20200413115716j:plain

国府津の主力勢力E231系 基本編成42編成、付属編成34編成が所属する

f:id:tk-shirasuphoto:20200413115812j:plain

E231系S-12編成の後ろに連結するE233系E03編成 この光景も今では当たり前だ

 

E231系誕生~E233系誕生

 民営化後は113系と211系の二種類で運転を行っていた。製造時期が異なるだけでなく、国府津113系、田町が211系と車種で異なる所属区に配備された。両車の分割運用も存在したが、車種の異なる組み合わせは一切行われなかった。

 2001年に湘南新宿ライン開業し、近郊型のE231系が誕生した。当初は南北を横断する列車は全て小山が担当し、国府津が担当するのは暫く後のことだった。またE231系国府津への配備も2004年まで行われなかった。

 113系の置き換えが完了した2007年に近郊型のE233系が登場する。当初は固定運用で使用され、基本と付属を合わせた15両固定編成で、区間は東京〜熱海に限定された。本格的な導入は2011年からの田町へ増備で、この影響で211系が担当した分割運用も一時的に入れ替わりで担当した。

 2013年に田町の廃止に伴い、普通列車国府津へ統合される。これに伴い、E233系は全車両東京~熱海間の運転に限定され、分割運用もすべてE231系が担当した。

 

上野東京ライン開業後

 2015年3月14日。東京の南北のターミナルである「東京」と「上野」、それを結ぶ新しい路線「上野東京ライン」が開通した。今まで東海道線の東京止まりだった普通列車は上野さらには高崎や宇都宮へ向かうようになる。湘南新宿ラインで南北を行き来していたが、今回はより多くの列車が行き交い、宇都宮線高崎線がより一体の路線になった。

 宇都宮線高崎線東海道線に乗り入れることで、小山も新たに東海道線を担当することになった。車両規模が田町より多いためか、拠点の統合は現在も行われず、二つの所属区で運用を行う。

 それらに伴い、東海道線は大きく変わり、運行区間が大幅に変更されるだけでなく、車両運用も見直された。現在の運行形態が誕生したのはこの時からだ。

f:id:tk-shirasuphoto:20200413115117j:plain

2015年から東海道線での運転を始めた小山のE233系U233編成

 

現在の運用

 上野東京ライン開業後、運用の基盤が構築され現在でも引き継がれている。

 まず運行区間は、熱海~東京のみならず、上野を経由して高崎線宇都宮線を行き来するようになった。東海道線発着の大半が直通運転を行い、特に日中時間帯はすべての列車が高崎線宇都宮線へ向かう。

 数本程度の直通運転区間である、「伊東線」熱海〜伊東間、「JR東海区間」熱海〜沼津間、「両毛線」高崎〜前橋間、「宇都宮線」宇都宮〜黒磯間。開通後も継続されるだけでなく、大方は上野東京ラインを経由するロングラン列車に変わった。かつては新前橋発沼津行きといった直通区間同士の組み合わせがあったが、2020年3月改正では高崎発に縮小し消滅した。最長は267.9km、走行時間最大4時間47分の上野東京ライン熱海発黒磯行きの列車だ。

 車種は開業後を機に小山が加わったほか、全車両共通運用となった。そのためE231系だけでなく、東海道線のみと制限されていたE233系も東京以北への運転を開始する。また伊東線乗り入れ、JR東海道線区間の運転、分割併合運用禁止などのE233系の制約も解除された。さらに同車種のみだった編成構成だが、E231系の併結改造が開業後には完了し、編成構成の制約も解消する。異種併結も可能となったことで、E231系E233系を自由に構成することを可能にした。

 多くの条件を解消し自由になった国府津だが、制約引き継ぐのも存在する。横浜から新宿、大宮と都市を南北に結んできた「湘南新宿ライン」。E233系の乗り入れを開始したが、運行区間などの条件は継続された。東海道線系統は高崎線との直通、区間が小田原〜高崎(一部前橋)、車両は国府津と担当している。

f:id:tk-shirasuphoto:20200413115924j:plain

所属区問わず互いの担当区間を走行するため、小山の車両が熱海に行くことも日常的

 

所属区代走

 南北に点在する国府津と小山。現在も同じ会社だが所属区の区分があり、決められた運用を担当する。国府津東海道線沿線の車庫の為、熱海~東京間や湘南新宿ライン小田原~高崎間を中心としている。

 ただ人身事故などのダイヤ乱れで別の所属区の電車が担当外の運用を代走や、意図的に担当外を代走し距離を調節することがある。代走方法も変わっており、基本と付属で所属区が異なることがある。そのため、基本編成は所定通りだが、付属編成だけ代走することも多い。全車種共通運用かつ所属区ごとによっての相違は運用上皆無な為、異種併結のみならず所属区の相違も問わずに構成される。運転本数のせいもあるが、多くは上野東京ライン系統で見かけられる。所属区ごとの編成表記の相違はあるが、列車番号の相違が全くなく、代走の判定は難しい。

f:id:tk-shirasuphoto:20200413120252j:plain

基本編成が国府津のK-42編成、付属編成が小山のU231編成 所属と編成表記が異なるのが特徴

 

 上野東京ライン開通で運用の制約が解消された国府津。特にE233系は、運転区間が伸びるだけでなく全車共通運用で使用されるようになる。かつての制約を克服するように今では南北を行き来する。

 一方、主力で活躍する国府津E231系だが、まもなく20年目を迎えようとしている。今後の活躍も気になるところだが、運用にも変化の兆しが訪れるのだろうか。

f:id:tk-shirasuphoto:20200413133605j:plain

 


 

f:id:tk-shirasuphoto:20200414163212p:plain

f:id:tk-shirasuphoto:20200415101425p:plain

f:id:tk-shirasuphoto:20200415101435p:plain