表現のつまみ食い

表現のおいしいところをつまみ食いするエッセイです。

国府津車両センターの運用概要

 2015年、東海道線上野東京ライン開業を機に大きな変貌を遂げた。日中時間帯は全列車が都心を越えて南北を行き交い、E231系E233系の運用区分を無くした。過去の運用を振り返りつつ、東海道線運用を中心とする「国府津車両センター」の運用を見ていきたい。

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所属車両

 現在、東海道線普通列車は、沿線に車庫を構える国府津車両センター国府津)の車両と直通を行う宇都宮線高崎線を担当する小山車両センター(小山)の車両で運用されている。国府津を主体とし、直通で来る小山は補助的といったところだろうか。

 それぞれ所属区にE231系E233系が配備され、基本編成10両と付属編成5両が存在する。国府津ではE231系が基本のK編成と付属のS編成、E233系が基本と付属の両方をE編成と総称している。編成構成は基本と付属を合わせた15両編成や基本編成のみの短い10両で運転を行い、逆に付属編成単独での運用は希少だ。車種ごとの運用の制約はなく、全列車共通運用となっている。そのため基本と付属の組み合わせが一概に同車種とは限らず、基本がE233系で付属がE231系のことも考えられる。

 上野東京ライン開通以前は田町車両センター(田町)も担当していたが、高輪地区再開発に伴い車両基地閉鎖で国府津に統廃合された。

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国府津の主力勢力E231系 基本編成42編成、付属編成34編成が所属する

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E231系S-12編成の後ろに連結するE233系E03編成 この光景も今では当たり前だ

 

E231系誕生~E233系誕生

 民営化後は113系と211系の二種類で運転を行っていた。製造時期が異なるだけでなく、国府津113系、田町が211系と車種で異なる所属区に配備された。両車の分割運用も存在したが、車種の異なる組み合わせは一切行われなかった。

 2001年に湘南新宿ライン開業し、近郊型のE231系が誕生した。当初は南北を横断する列車は全て小山が担当し、国府津が担当するのは暫く後のことだった。またE231系国府津への配備も2004年まで行われなかった。

 113系の置き換えが完了した2007年に近郊型のE233系が登場する。当初は固定運用で使用され、基本と付属を合わせた15両固定編成で、区間は東京〜熱海に限定された。本格的な導入は2011年からの田町へ増備で、この影響で211系が担当した分割運用も一時的に入れ替わりで担当した。

 2013年に田町の廃止に伴い、普通列車国府津へ統合される。これに伴い、E233系は全車両東京~熱海間の運転に限定され、分割運用もすべてE231系が担当した。

 

上野東京ライン開業後

 2015年3月14日。東京の南北のターミナルである「東京」と「上野」、それを結ぶ新しい路線「上野東京ライン」が開通した。今まで東海道線の東京止まりだった普通列車は上野さらには高崎や宇都宮へ向かうようになる。湘南新宿ラインで南北を行き来していたが、今回はより多くの列車が行き交い、宇都宮線高崎線がより一体の路線になった。

 宇都宮線高崎線東海道線に乗り入れることで、小山も新たに東海道線を担当することになった。車両規模が田町より多いためか、拠点の統合は現在も行われず、二つの所属区で運用を行う。

 それらに伴い、東海道線は大きく変わり、運行区間が大幅に変更されるだけでなく、車両運用も見直された。現在の運行形態が誕生したのはこの時からだ。

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2015年から東海道線での運転を始めた小山のE233系U233編成

 

現在の運用

 上野東京ライン開業後、運用の基盤が構築され現在でも引き継がれている。

 まず運行区間は、熱海~東京のみならず、上野を経由して高崎線宇都宮線を行き来するようになった。東海道線発着の大半が直通運転を行い、特に日中時間帯はすべての列車が高崎線宇都宮線へ向かう。

 数本程度の直通運転区間である、「伊東線」熱海〜伊東間、「JR東海区間」熱海〜沼津間、「両毛線」高崎〜前橋間、「宇都宮線」宇都宮〜黒磯間。開通後も継続されるだけでなく、大方は上野東京ラインを経由するロングラン列車に変わった。かつては新前橋発沼津行きといった直通区間同士の組み合わせがあったが、2020年3月改正では高崎発に縮小し消滅した。最長は267.9km、走行時間最大4時間47分の上野東京ライン熱海発黒磯行きの列車だ。

 車種は開業後を機に小山が加わったほか、全車両共通運用となった。そのためE231系だけでなく、東海道線のみと制限されていたE233系も東京以北への運転を開始する。また伊東線乗り入れ、JR東海道線区間の運転、分割併合運用禁止などのE233系の制約も解除された。さらに同車種のみだった編成構成だが、E231系の併結改造が開業後には完了し、編成構成の制約も解消する。異種併結も可能となったことで、E231系E233系を自由に構成することを可能にした。

 多くの条件を解消し自由になった国府津だが、制約引き継ぐのも存在する。横浜から新宿、大宮と都市を南北に結んできた「湘南新宿ライン」。E233系の乗り入れを開始したが、運行区間などの条件は継続された。東海道線系統は高崎線との直通、区間が小田原〜高崎(一部前橋)、車両は国府津と担当している。

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所属区問わず互いの担当区間を走行するため、小山の車両が熱海に行くことも日常的

 

所属区代走

 南北に点在する国府津と小山。現在も同じ会社だが所属区の区分があり、決められた運用を担当する。国府津東海道線沿線の車庫の為、熱海~東京間や湘南新宿ライン小田原~高崎間を中心としている。

 ただ人身事故などのダイヤ乱れで別の所属区の電車が担当外の運用を代走や、意図的に担当外を代走し距離を調節することがある。代走方法も変わっており、基本と付属で所属区が異なることがある。そのため、基本編成は所定通りだが、付属編成だけ代走することも多い。全車種共通運用かつ所属区ごとによっての相違は運用上皆無な為、異種併結のみならず所属区の相違も問わずに構成される。運転本数のせいもあるが、多くは上野東京ライン系統で見かけられる。所属区ごとの編成表記の相違はあるが、列車番号の相違が全くなく、代走の判定は難しい。

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基本編成が国府津のK-42編成、付属編成が小山のU231編成 所属と編成表記が異なるのが特徴

 

 上野東京ライン開通で運用の制約が解消された国府津。特にE233系は、運転区間が伸びるだけでなく全車共通運用で使用されるようになる。かつての制約を克服するように今では南北を行き来する。

 一方、主力で活躍する国府津E231系だが、まもなく20年目を迎えようとしている。今後の活躍も気になるところだが、運用にも変化の兆しが訪れるのだろうか。

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打ちあがったものは何だったのか(アニメ映画「打ち上げ花火、下から見るか? 横から見るか?」)

 想い出を取り返したい。そんな意味を込めているのか、夏作品は後悔を取り返す作品が多い。「時をかける少女」はタイムリープを使い何度も何度も夏をやり直す、「君の名は」では夏の後悔を取り返そうと主人公が必死に行動する。

 「打ち上げ花火、下から見るか? 横から見るか?」も主人公「典道」の後悔を払拭し、ヒロイン「なずな」を救おうする「タイムリープ」ものだ。

 

原作は「世にも奇妙な物語」の後番組

 夏休みの登校日に典道はある賭け事をする。その勝敗で典道だけでなく、ヒロイン「なずな」にも関係し始め、結果としては悔やまれる結果となってしまった。もしあのとき典道が勝っていれば、なずなはどうなったのか。その後悔を確かめるように彼は再び分岐点である賭け事を始める場面に出会す。この勝敗で大きく変化するのだろうか、その真実を典道は追求し始めるが、果たして彼女の運命はどう変わっていくのか。

 原作はフジテレビドラマで、「世にも奇妙な物語」の後番組「もしも…if」で放送されていた。とは言っても語りはタモリさんと奇妙な物語と変わりがなく、弟分のような番組だ。アニメ映画との一致点が多く、タイトルもちろん、挿入歌もリメイク版にしては変わらない曲が登場した。フジテレビがスポンサーなのも納得する。

 

ドラマメイクが安全だったのでは?

 ただなんというか、アニメでやる必要あったのか?と聞かれると、微妙な反応を示す。

 広瀬さんや菅田さんのダブルキャストで話題性があろうが、声の芝居がイマイチだった。例えば典道は原作より年齢を1年年上の中学生に変わった。ただ声を聞くと少々野太く高校生ぐらいに聞こえてくる。別にアニメが好きで俳優陣を嫌うつもりは全くない。むしろ菅田さんに関しては声の芝居より、「アルキメデスの大戦」の櫂直(かいただし)など実写を称賛するほどだ。

 またストーリーも終始モヤモヤする。明確な目標もよくわからず、ただ物語が進んではやり直し、進んではやり直しを繰り返す。おまけに原作よりも2倍に延びた尺を過剰な水増しで誤魔化していて、結局時間差で気がついたクライマックスが評価をさらに下げた。

 いっそリメイクドラマとして菅田さんと広瀬さんが主演しても差し障りはなかったと思う。それが駄目でも、せめて最後のモヤモヤをタモリさんが振り返るように締めて欲しかった。

 

シャフトが手掛ける表現

 アニメリメイクの利点は何か。その答えはアニメならではの表現にある。制作会社は西尾維新の「物語シリーズ」や「ひだまりスケッチ」を手掛けたシャフトが主体だ。「物語シリーズ」では感情ごとに表現をコロコロ変え、物語の起伏をつけるためにオーバな表現で、終始楽しませてくれた。また高校生らしい幼さを残しつつ美しさが印象深い戦場ヶ原ひたぎを中心とした個性的なヒロインも魅力的だった。

 そんな定評がある表現とヒロインが映画にも継承されている。なずなも原作より大人びて、戦場ヶ原ひたぎに酷似してようだ。そのせいか中学生にしては大人っぽいが、この大人の風格が後々必要になるので多目に見て欲しい。またドラマではなずなの顔に乗った蟻だが、アニメでは夏らしくトンボに変わった。他にも彩色豊かな花火のシーンや夕方の静寂な海を走る電車など、リアリティを追求するよりも見栄えを重視し、表現に定評がある制作会社だかこその抜群な描写だった。

 

打ち上がったものは一体

 シャフトが得意とするアニメ表現は秀逸で、文句はなく、綺麗打ち上がったようにも思えた。ただ好評はそこだけで、欠点が足かせとなり打ち上げシーンだけが綺麗で終わった。結果として不発玉となって美しく散ることができなかった。

惨めさから学んだこと

失敗からしか学べないことが多い。

せっかくなので、頭に残すだけでなく、書きつづってみた。

 

 

畳み掛けても何も出ない

気長に待ってひとりでやらないと何も身につかない

 

冷静な判断は余裕な気持ちから

とにかく栄養バランスと質の高い睡眠を

 

これをやってみよう

これならどうだろうか

失敗は一番の学び

 

判断は自己で決める

足りない部分も察している

 

意思を継ぐ?

ここは創作ではない

 

うまくやろうとさせるな

その余裕の無さが命取り

 

相手に寄り添った謝罪の一言

余計だからやめておけ

 

クレーマーは我慢

粗を見つけられると急に弱る

 

ストレスは誤魔化しで消すもの

定期的に誤魔化せる環境づくりを

 

助けてくださってありがとう

少しずつだけど助け返そう

 

無理はしないで

余計なことしないで

自分のできることからやって欲しい

 

やってしまった

的確ではない指示

 

続けるには努力

あと宿題はやろう

 

最後に勝つのは体力

それと感謝の気持ちを忘れずに

おわりが見えない富山地方鉄道

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電鉄富山に停車するステンレスの東急車

 

 わざわざ富山へ行く意味あるの?

 富山、特に富山地方鉄道(以下、地鉄)に2ヶ月ペースで訪れているが、この答えに悩んだ。

 

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大井町線田園都市線で活躍していた地鉄に譲渡された車両

 

 東急の譲渡車両がいる。東急は積極的に地方鉄道への譲渡を行っており、再会できるのも魅力のひとつ。地鉄もそのひとつで、東急の車両がいないか探してしまう。

 地鉄に来た東急の車両が好きか。そう言われると怪しいところだ。東急で活躍していた頃を振り返っても、これといった思い出がない。理由のひとつかもしれないが、確信をつく答えとはいえない。

 

 路線はどうだろうか。実は地鉄の路線総延長が地方私鉄では長く、東急とほぼ同じ(地鉄100.7km、東急線104.9km)。街を結ぶ通勤電車から北アルプスの麓を走る特急電車など幅広いラインナップとなっている。

 車両運行に関しては特に制約がない。観光列車が通勤特化の路線を走ったり、特急券を徴収する車両が東急の車両になることもある。

 100km近くの路線を縦横無尽に走り回り、かつ車両運行の制約も特にない。東急の車両だけ探すのもこれまた一苦労だったりする。加えて区間ごとにテーマが違い、路線の解釈が訪れる度に変わっていく。サグラダ・ファミリアのように完成の見えない作品をひたすらつくっていく、その感覚が確信をつく魅力かもしれない。

 

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立山駅前の踏切を通過する東急車 

 

 まだ知らない富山地方鉄道。その奥深い富山を知りたい。これが何度も行ってしまう理由かもしれない。

路地裏の猫(世田谷八景)

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 猫ってどんなところにいるのか。自宅で寝転がったり、町を自由に歩いたりと、色々と浮かべると思う。

 街中のなかでも、路地裏とかはどうだろうか。ひと目につかないところで仲間とじゃれ合ったり、エサを求めて自由に歩いたり。路地裏に溶け込むわけではないが、その中を気が向くままに過ごしている印象がある。

 

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路地裏みたいなところもある世田谷線

 

 なぜ、猫にこだわるのか。実は世田谷線で招き猫電車が復活した。以前も期間限定で活躍していたが、世田谷線50周年を記念して復活した。今回、猫の電車に自分が持つ猫のイメージを重ねてみた。

 

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 撮るついでに乗りたくなる車内

 

 猫らしい風景を求め、追いかけていた招き猫電車。この車内が変わっている。撮るのもいいが、乗ってみたい車両でもある。

 

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三軒茶屋駅に掲示されている招き猫電車専用の時刻表

 

 そんな招き猫電車はほぼ毎日運転されている。運転時刻も駅だけでなく、インターネットでも知ることができる。

 たまにはちょっと変わった電車でも撮ってみませんか。電車を撮るときとは違った視点が見えてくるかもしれません。

冴えない東急電車(越中八景 再会)

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 現地で急な方針転換。その結果、以前から気になる存在を主役にした。地元では冴えない存在だったが、再会は別の話。

 

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大井町線を象徴する帯を纏う元東急8590系

 

 全国各地に東急の車両が譲渡されている。富山では大井町線で活躍していた8590系4両が活躍している。

 新天地の日常はどうなのか。はっきり言うと今の東急とは全く違うものだ。上滝線で見かけたが、東急にはない風景に目を奪われた。

 

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岩峅寺に停車する元東急8590系

 

 特に岩峅寺はどこか新鮮な印象だった。今振り返ると2000年代の旗の台もこんな風だった。ただ改築に馴染んできたせいか、その頃をすっかり忘れていた。新鮮が先に出たのは、今なにかを忘れようとしていると思う。

 地元では冴えない存在だった。でも新天地では昔を忘れているせいか、興奮させてくれる存在になりつつある。

 

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立山線の車内 岩峅寺で上滝線から乗り換えることができる

 

 地鉄の日常はこれだけなのか。実は上滝線以外にも路線がある。やりたい構想はいくつもあり、今回訪れたのはその視察も含んでいる。

緑から緑へ(箱根八景)

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 7月。新緑がおわり、緑が当たり前になってきた。そんな日々にちょっとした転換期が訪れていた。

 

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トンネルを抜け到着した新型車両

 

 久しぶりに箱根の山を上ってみたが、変わっていた。車両だけでなく、駅も綺麗に整備されていて、知っている風景が変わりつつあった。

 

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紫陽花に囲まれながら通過する旧型車両

 

 ただ紫陽花を楽しめるのは今年も変わらなかった。7月上旬だったが、標高が高くなるにつれて綺麗な紫陽花が咲いていた。あちこちに咲くだけでなく、電車にあたらないよう工夫されていた。こちらも綺麗に整備されているが、紫陽花を楽しめるのは昔から変わらない。

 また旧型車両が限定的ではあるが、稼働していた。非冷房と蒸し暑い日には少々驚いた。乗ってみると力強い轟音がして、撮ってみると緑に映える朱色の車体がよかった。馴染みある車両を見かけるだけで安心感があった。

 変わりつつある日常だが、今年は変わらないものがあった。

 

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箱根の山を登る登山電車

 

 花の季節がおわろうとする箱根の山。新しい緑に変わろうと、電車は上っていく。