個性的な駅を通過して(着席八景 Sトレイン編)
新旧秩父特急、拝島ライナー。着々と西武線の座席指定列車を撮っていた。つぎに撮るとしたらこれがいいな。そう思い、埼玉ではなく横浜へ向かった。
西武線が走らない横浜に向かったのはなぜか。実は横浜から西武線の座席指定列車が運転されている。今回池袋線ではなく、直通先での運転に注目してみた。
中目黒の目黒川付近を通過する座席指定列車
思い切って休日朝7時の列車に乗ってみた。横浜から数名乗ったが、混んでいるイメージがある東横線の優等列車と比べると不思議な感じがした。これが毎週末続いているのを考えながら渋谷で降りた。
独特な雰囲気を持つみなとみらい線の駅
西武線にはない雰囲気。それを求めてみなとみらい線で撮影した。たった5駅の地下駅。ただ駅名や駅周辺の風景に合わせるようなつくりで、どこも地下駅だからできる個性があった。撮影場所に悩んでしまうほどおもしろく、1日で収めるのが惜しかった。
みなとみらい駅を発車する座席指定列車
毎週末走る誰も乗らない列車。通過していく駅はどれも個性的だった。
変わらないものを探して(武蔵野八景)
西武線の主流は3つ扉の電車だった。しかし乗降時間を短縮できる4つ扉の電車に変わり、数も減っていった。そんなかつての主流が今でも現役だ。
3つ扉の新101系
西武多摩川線、多摩湖線、西武園線。この3つの路線で3つ扉の電車を見ることができる。車両はかつて池袋線などの主流路線で活躍していたが、現在はこの路線にとどまっている。
もどかしい構内踏切が今でも現役
訪れた路線はバラバラだ。多摩湖線と西武園線は平行していて、西武多摩川線は他の西武線との接続が全くない。
ただ共通点があるようだった。電車を降りても改札に行けない構内踏切があったり、自然豊かな公園が残っていたり。
どこか変わらない日常が続いている。大きな変化がなく、普遍的なところがバラバラの路線をひとつと思わせていた。
変わらないものがいつまでも続いて欲しい。そんな日々の何気ないシーンを写す日常ものを考えてみた。
高架工事中の東村山
変わらない路線。でも、変わろうとしていることがある。
救済電車(着席八景 拝島ライナー編)
拝島線に座席指定列車が運転していたのはご存じだろうか。何度か運転していたが、定期列車にはなれなかった。
そんな路線に、再び座席指定列車が登場した。復活から1年経ち、今回乗車してみた。
乗車が始まる拝島ライナー
座席指定列車「拝島ライナー」は西武新宿を起点とする。隣の高田馬場に停車し、小平まで止まらない。小平から拝島線内は各駅に止まる。指定席券が350円と他の座席指定列車と比べたら安い。
小平での乗降を終えた拝島ライナー ここから拝島線内は各駅に停車する
なぜこの列車は廃止にならないのか。そのヒントが小平駅から先にある。
小平から乗車券のみで乗車可能だ。このシステムが列車は来ないが混雑する拝島線に、本数増加として貢献している。これは以前の特急車両とは違うところだ。
座席指定なしで乗車可能なのは、通勤車としての顔を持っていることだ。拝島までクロスシートだが、折り返しはロングシートに変わる。つり革があるのもそのためだ。
拝島ライナー運転時の車内と折り返しの小平行きの車内
特急車両とは違う。そんな新しい列車が拝島線を救っている。
八景シリーズ
一つひとつを楽しんでもらいたい
最近の画像加工はより容易くなった。複数枚をひとつの画像にまとめることもでき、手軽さと加工の楽しみが画像の流行にもなっていた。
でも一つひとつを楽しんで貰いたい。いままで写真展や作品集を見ても、一つひとつを大切にしていた。ひとつだけで何を表現し、一つひとつの移り変わりはどんななのか。また何気ないカットを小さくするより、ひとつとして置いたら関連があると気づいてくれるのではないのか。
古典的ではある。でもその伝統的な楽しみを知っていて、それを取り入れたい。そんな考えで習作をはじめとした作品は、一つひとつを大切に投稿している。
限定的な並びへ
地元を離れて遠くへ。最近は定期的に行うようになった。
他路線での活動は時間が限られ、移動だけで労力を費やす。そういったことを賞賛して貰いたいのと、一つひとつを楽しんでもらいたい。そうして出来上がったのが、近江鉄道の写真になる。Instagramで4/24〜5/4の11日間に22作品を並べた。
習作を挟むようにして現れた22作品。少し気になることがあった。習作の中に地方私鉄があると違いがはっきりする。ただ自己の思いが強くなり過ぎていると感じた。
具体的に長すぎて見せ場がなくなってきている。確かにどれも大切でどれも見て欲しい。でも長すぎてわからなくなって来た。せっかくの大きなテーマに特別感がなく、習作のようになっていた。
そう思い、習作とは別のシリーズを設けることにした。内容も縮小して、より習作との差別化を図った。そして誕生したのが4日間8作品にまとめた八景シリーズになる。
こちらの近江八景は八景版に再編集しました
物語的な並びへ
八景の由来だが、これは日本の風景版画のシリーズものを参考にしている。特に川瀬巴水先生の「東京二十景」は日常的な風景を二十景としてまとめていて、題名だけでなく、作風も参考にしている。
そんな八景シリーズも回数を重ねるごとに形を変えている。現在は並べ方にテーマを設け、それにふさわしいものを選んでいる。時系列通りの作者の体験とは違い、作者の伝えたいものを重点を置くようになった。
「座席八景 拝島ライナー」から並びを重視してみたが、組み立てているうちにテーマが鮮明になってきた。なにが必要で、見せ場や転機はどんなもので、足りないところは他に代用できるものはないのか。
今まで曖昧で無造作につくっていた写真が、次第に一つひとつに意味を持つようになってきた。写真づくりもどこか八景を意識するようになり、作品のテーマがつくっていくうちに見えてきた。
形を変え続ける作品。当たり前で不透明だったものが、どこか繋がるものに変わろうとしている。今後は八景シリーズを中心にまた違う作品が出てくるのかもしれない。
蛇足が鍵となる(青春ブタ野郎はゆめみる少女の夢を見ない)
なんだあの最終回。序盤から高評価だったのが最終回で低評価に変わるとはあのことだったかもしれない。
でも今だから言える。あの最終回が映画では重要だった。
思春期症候群と出会った女性
思春期の悩み。それが思春期症候群という病魔として現れる。病魔を解消していき思春期を乗り越えるのが、この青春ブタ野郎シリーズのおおまかな流れである。
映画では思春期症候群にかかっている梓川咲太、発症時に出会った牧之原翔子。ふたりの思春期症候群をはじめとした謎が明らかになっていく。
本当にこれでいいのか
このシリーズはリアルな人間が描かれている。映画では登場人物の絡み合いがより複雑になっている。咲太と彼女である桜島麻衣、そして牧之原翔子。それぞれの想いがぶつかり合っていき、主人公である咲太に大きな選択を迫られるようだった。
そしてアニメ最終回だが、この映画では伏線のようにも思えた。最善の策を結末までわからなくさせたのもこの話があってこそだと思う。
ユーザーが求めているものとは(投稿数1000を越えて)
わからない。自分のキャラクター、今何を欲しがっているのか、わからない。Instagramのユーザー数、いいねの数は増加傾向にあるが、わからなくなってきた。
でもこれはいいことかもしれない。自分が大切にしているものはなにか、そして今後の活動には何が必要なのか。既存のアイディアの認識と新しい課題の発見する機会かもしれない。投稿数1000件目を記念して、この特集でお送りする。
当たり前のことだからこそ美しい
「当たり前の光景は他では珍しい。そして当たり前のことだからこそ美しい」。
ルールや習慣。そういった日常はどこに行っても存在する。ただ見慣れてしまうとその光景に対して違和感が薄れてしまう。
そんな日常に違和感だと気がつく場面がある。旅行とか行くとどうだろうか。エスカレーターの乗り方や列車の待ち方といった違いに驚くことはないだろうか。日常と非日常は表裏一体をなしており、当たり前の光景は他では珍しかったりもする。
また日常的なことは珍しいだけでなく、美しさも潜んでいる。これも日常と認識してしまい、違和感だけでなく美しいも見逃す、もしくは気づかなかったりもする。整列乗車の光景に何も感じず、ただ当たり前のように通り過ぎてしまう。でも見方を変えたら、統一感があって美しいと思えないだろうか。そんな視点を変えたときに感じた美しさ、それが当たり前のことだから美しいのだ。
日常ではありながらも、客観的に観察して記録する。そんな視点からさらに観察して、そこに潜んでいる美しさはないのか。それが被写体との向き合い方で、今一番大事にしていることだ。
Instagramの新システム
既に半年ほど経ったが、Instagramに新しいシステムが登場した。それが"インサイト"機能だ。
ユーザーの意向を見ることができる機能だ。これにより一部推測数値ではあるが、よりデータが可視化された。今回はいいね!の数、リーチ数、フォロワー外(以下、F外)の数を参考とした。
まずいいね!の数。これは投稿に対しての反応を示したものだ。この数値だけは他ユーザーも見ることができる。
つぎにリーチ数。これはアクセスした数になる。推測数値ではあるが、表面化されていなかった貴重なデータだ。
F外の数はリーチ数の中からフォローしていないアカウントの割合を示したものだ。簡単に言うと常連ではない方々の割合になる。
これらのデータからユーザーの傾向をみていく。
新規ユーザーが少ないデータ
年々変わっていく投稿スタイル。統一感の無さから2020系だけにして、最近は他の私鉄の投稿も行うようになった。スタイルの移行期で判断に悩むと思った。
でも集計してみるとあるデータが浮かび上がった。実は既存スタイルである2020系の投稿だが、F外の割合が少なかった。投稿の統一感はあるが、常連の方々で占める結果だった。
でもまずこちらのデータからまとめた。確かに出入りは少ないが、いいね!の数が上位に来るものがあった。具現化されていないコンセプトを理解したうえでフォローしていると思う。コンセプトを大切にしながらも、ユーザーが何を求めているのか。それが自分のスタイルにしたいと思い、こちらのデータからまとめた。
当たり前の中に輝く1枚
日常的な投稿を求めている常連の方々。彼らは投稿の中から何にいいね!をしてくれるのか。ひとつわかったことがある。それが斬新な切り口だ。
以前にも口にしてきたこの切り口。クライマックス、つまり美しい風景などのことだろうと思った。夜が始まりそうな夕闇の空や綺麗な雪化粧した富士山の写真。これらには自信があり、データを見返した。ただ数は稼げているが、中の上程度だった。
一方、合間に撮れそうと思って撮った写真。例えばエスカレーターで上りながら撮った一枚や出発した駅を背景に写した一枚。実はこれらの投稿が意外なことにいいね!の数が上位だった。
創作者とユーザーの意向は本当に一致しないとよく言われるが、まさにこのことであろう。否定をしたいがデータが出てしまった以上仕方がない。
そして切り口は必ずしも美しいものだけではない。その手はあるが、誰も撮らないようなもの。そんなベテランに勝てるような発想をユーザーは求めているのだろう。
5/22投稿 エスカレーターで上りながら撮影した一枚
それとは別に何もしなくてもいいね!を稼げる写真がある。それが編成写真だ。編成を1枚に収めた写真のことを編成写真と言い、鉄道写真の中では最も目する写真だ。まさに王道のカテゴリーになる。
誰もが撮るが、誰もがいいね!を押してくれる。輝かせるには手っ取り早い一枚かもしれない。
6/21投稿 鉄道写真の王道、編成写真
ユーザーの入口とは
自分のコンセプト、既存ユーザーが求めているもの、これら二つを分析してきた。ではユーザーはどのような投稿を入口としてやってくるのか。今度はF外の数を参考にしてみた。
まずタグにある。Instagramではユーザーの投稿はタグ通じてのみ共有することができる。二子玉川、秩父といった人気スポットでの撮影は特にF外の割合が高かった。
もうひとつが珍しい列車である。鉄道系ユーザーだと特に新型車両の動向は気になるので、こちらの投稿も良さそうだ。他にも名称がある列車や特急列車など通勤電車とは違った車両も知名度があり、いいね!の数も増える。
タグだけで新規ユーザーを探す故に、この傾向が強くなるのも無理はなさそうだ。
やりたいことは続けたいこと
ユーザーを増やすためにコンセプトを白紙化、タグに特化した投稿、このことを思い浮かべるが、それを行うつもりはない。全く変えないつもりはないが、あくまでも自分の出来る範囲から観覧ユーザーを増やすことである。
またユーザーを増やすことが目標ではない。新規ユーザーは投稿を知って貰えるきっかけづくりであり、具現化されていないコンセプトを気に入るユーザー、これを増やす過程に過ぎない。現状の最終目標は常連を増やすことになのだから。
それに自分のやりたいスタイルで、共感できる同志が増えればいいなぐらいとは思っている。これが本当に続けたいことでもあり、やりたことでもあるのだから。