表現のつまみ食い

表現のおいしいところをつまみ食いするエッセイです。

古典の入口は4Luxury

4Luxuryと聞いてなんだか大人ぽい感じがする。

それもそのはず、このユニットはアプリゲーム「アイドルマスターミリオンライブシアターデイズ」内で20歳以上のキャラクターだけで構成されたものだ。数少ない成人キャラクターだけなのが話題を呼び、未だに人気が高いユニットだ。

その4Luxuryが歌う「花ざかりWeekend」。普段は普通の働く女性。でもオフィスを抜け出すと輝く女性に変身する。そんな歌詞がキャラクターと同世代の女性に向けたようで、憧れを抱く人も多いであろう。

ただこの歌詞に違和感を感じる箇所がいくつかある。特にタイトルの「花ざかり」は聞き覚えが無い。一体何だろうか。

 

「花は盛り、月はくまなきをのみ見る」

これは徒然草第一三七段の冒頭の一部。「花はさかる」だけでなく「月くまなき」も歌詞に出てくる。実はこの「花ざかりWeekdend」には古典的なテーストが含まれており、現代の歌詞との組み合わせが魅力の一つだ。

この斬新なアイディアに古典文学への興味が出て来た。何かこの楽曲にヒントになることがあるかもしれない。そう感じさせるものがあった。

ただ古典は避けては通れなかった道だったので、当然待ち構えるものを知っていた。数年避けても変わらない、特に古文への偏見は忘れもしなかった。語学は常に進化しているが、同じ日本語でありながら外国語を学ぶような違和感はどうも立ち止まるものがあった。加えて文章の構成を知らないと古典は楽しめない、そんな大きなハードを感じていた。

でもこの歌詞がリスペクトしたものを知りたい、そんな強い衝動の方が強かった。そうと決まれば行動が早いのでまず本屋へ行き、古典文学の本棚へ向かった。古典に関する書物は大なり小なり取り扱っていた。表紙は現代文学のような文庫本タイプのものから、フレンドリーな柔らかい表紙の書物まであった。身構えていた自分からするとこの幅広さには少し安心感があった。

いきなりハードルが高いものは困ると思い、まずはフレンドリーな書物を手にした。内容に反していきなり騙されたような古文で埋め尽くされることは無く、挿絵と翻訳それに解説までついていた。親切丁寧な対応で、拍子抜けしてしまった。いつしか入門書を片手に古典文学の入り口に足を踏み入れていた。

読んでみるとこれが本当に面白かった。今でもわかるような面白さがあり、これが本当に千年も前に書かれた文章なのか目を見張るものがあった。気が付けば翻訳された文章を頼りだが、古典文学を探る楽しさを見つけた。

 

古い構成を学ぶ難しさが無く、文章そのもの楽しむようだった。学びの念が消え去り、本来伝えるべき文章が翻訳を通じて拾えることが出来た。こんな古くから親しまれた文章にもっと早く出会えれば良かったと大げさながらそう感じた。そう思えるのはこういう入門書があるおかげで、先入観のリミッターが外れるようだった。