表現のつまみ食い

表現のおいしいところをつまみ食いするエッセイです。

THE iDOLM@STER MILION LIVE!の世界

アイドル育成ゲームを主軸としてきたTHE iDOLM@STER。今年で13周年を迎える伝統的なゲームだ。

総本家13名をはじめ、現在ではいくつかの派生シリーズが存在する。女性向けのSideM、新たに発足したSHINY COLORSなど時代やニーズに合わせて形を変えたものが登場する。アイドルマスターミリオンライブ(以下、ミリオン)もそのひとつだ。

 

 

今年で5周年を迎えるミリオン。元々は携帯ゲームであるGREEのアイドル育成ゲームだった。他のアイドルマスターシリーズと異なり総本家である既存の13名のキャラクターと新規キャラクターを組み合わせた計50名で構成されている。13名の先輩が新規キャラクターである後輩達を支え、徐々に後輩達の魅力を知ってもらうコンセプトであろう。

彼女たちの成長はライブに向けた練習風景をストーリーとして紹介している。特にユニット形成時では登場するキャラクターが増えるのでキャラクターごとが抱える問題もそれぞれ出てくる。その為個々の問題がぶつかり合い、ドラマとなって展開される。この辺りは普通なアイドルの日常だろう。

ただよくある歌って踊る日常だけではなかった。彼女達はアイドルとして活躍している傍ら役者として活躍するのだ。ジャニーズにはアイドル兼役者がいる。でも二次元アイドルではあまり見ない組み合わせでその意外性が話題を呼んだ。

アイドルが出演するドラマと言われて何を想像する。例えば恋愛モノとかどうだろうか。憧れのあの子が駆け寄ってきて、その末のハッピーエンドはさぞ見てみたいであろう。

ミリオンではこの様なドラマがあった。お嬢様学園の日常を描いた「聖ミリオン女学園」。ヒーローであるアイドルヒーローズと悪の組織デストルドーの格闘を描いた「アイドルヒーローズ」。人類とエイリアンが宇宙の平和を守る「アイドルスペースウォーズ」。

そう彼女たちが出演するドラマには道を踏み外すものがあり、その意外性がゲームをより熱くした。ミリオンに関わるユーザーは口々に「アイドルとは一体…」と呟くがこれは無理もない。ただこの困惑が刺激となっていることを知らず人々の記憶に残すのであった。

 

 

そんなストーリーの邪道を極めたミリオンは4周年を迎える一方で改変期が訪れる。それがアイドルマスターミリオンライブシアターデイズ(以下、ミリシタ)の誕生だ。

GREE時代のアイドル育成ゲームを残しつつ、流行りのリズムゲームを取り入れたスマートフォンアプリゲームが誕生した。総本家含めたミリオン50名のメンバーは変わらないが、新たに2名のキャラクターを迎え入れた。新たなキャラクターを迎えるにあたって設定も新しく構成しなおされた。その為今まで極めた邪道ドラマの設定も忘れるように捨て去り、元の綺麗な歌って踊るだけのストーリーへと戻った。

この新規キャラクターや新たな世界構築が新規ユーザーを取り入れる形となり、4周年ながらも新しく楽しめるアイドルマスターシリーズに生まれ変わったのであった。私もその一人であり、今ではログインを欠かさず行うほどだ。それぐらい新規ユーザーの受け入れがうまく機能したであろう。

 

 

こうしてミリオンはミリシタに生まれ変わり、新しく綺麗な佇まいに戻り、平和が訪れようとしていた。4周年を知るものは恐らく彼女たちがアイドル活動だけに取り組む姿がどこか懐かしく見えたであろう。そしてもうアイドルがエイリアンになったり、ヒーローとして闘う世界は無い。寂しいが誰もがそう願っていたのかもしれない。これが本当のアイドルなんだとミリシタが教えてくれたのだから。

 

 

「アイドルヒーローズ設定集」,『THE IDOLM@STER MILION LIVE! MAGAZINE vol.2』,一迅社

「50人のアイドル、5年の活動記録」,『THE IDOLM@STER MILION LIVE! MAGAZINE vol.3』,一迅社

2018-08-06 一部修正