表現のつまみ食い

表現のおいしいところをつまみ食いするエッセイです。

トレーナーが熱くした2018年春アニメ

春から始まったシーズンものももう入れ替わり。今期のアニメは予想外の刺客によって視聴作品が変動した。

振り返ると刺客となった作品は興味が無かった。その為初回も見逃し、気が付けば4月を終えようとした。

そんな中SNSの口コミでは評判が良かった。視聴を推奨する発言もいくつか目撃した。一番期待していない作品だけあって少々疑問だった。そんな半信半疑の中、視聴することを決意した。

結果、作品の虜になってしまった。最終回まで素晴らしかったおまけ付きだ。

突然現れたその作品の名は…

ウマ娘 プリティーダービー

 

主人公であるスペシャルウィーク(以下、スペシャル)は田舎から上京して学園に入学する。学園内でのレースを持ち前の足を使い日本一を目指す作品だ。

この作品は競走馬を擬人化した作品である。スペシャルは90年代後半に活躍した競走馬だ。この馬は本来オス馬であるがこの作品では性別関係なく美少女になる設定だ。

擬人化にあたって人間ではなくウマ娘という種族に分類される。人間と同じ体形で二足歩行。一方足は馬と同じ速さ、ウマ耳と尻尾があるのが特徴だ。

 いくらビジュアルが人間とは言え大きな耳と尻尾には少し抵抗があった。おまけにオス馬が女の子になるのだ。

では何故そんな作品が最後まで熱くさせたのか。

 

まず史実と連動したストーリだ。

この作品は競走馬を擬人化した作品である。「オグリキャップ」、「トウカイテイオー」と言った名馬も擬人化して登場する。勿論「スペシャル」と共に90年代後半を戦った「エルコンドルパサー」、「グラスワンダー」といった馬も登場する。彼女たちも学園内のレースを出走するストーリーが展開される。

学園内でのレースは実際に擬人化された馬が出走したものがモデルとなっている。つまり学園内を制すれば日本一にもなれる。特殊なケースはあったがレースに登場するのは大方史実通り。加えてレースの展開だけでなく勝敗や実況も大方過去のものと変わらない。

その為作品の展開を予想することも可能だ。気になって色々と調べることもあった。そこにはレースの駆け引きだけではなく競走馬のドラマにも触れることができた。史実通りが生んだ副産物であろう。

一方でレースだけではない。ストーリーにおいてはレースに紐づけされる事柄が散らばっている。彼女たちの不調や強さの理由。その連動するストーリーが史実通りのレースをより魅力的に見せていた。

 

もうひとつがトレーナーの存在だ。

学園内での彼女達はそれぞれチームに所属してレースを出走する。チームを指導するのは人間のトレーナーだ。スペシャルが所属するチームにもちゃんと男性のトレーナーが指導していた。

指導と言ってもこのチームは割と自由なやり方だ。基本的にチームメイトそれぞれに合わせた指導を行う。

スペシャルを指導するときもそうだ。初めて負けた時は一緒に悔しがり反省していた。他のことにうつつを抜かすスペシャルをどこか察した様子でレースをただ見守る。そのときはちゃんと元々の目標を思い出させるように導いていた。

チームメイトをよく見ているが自分達で成長させていく姿がどこか良い指導者に思えた。

 

そうして気が付けば全13話が終わっていた。史実通りがキャラクターのモデルを調べるきっかけに繋がった。またストーリーやトレーナーの存在が史実通りのレースをより盛り上げてくれた。

7月から再放送が始まるウマ娘プリティーダービー。見た目に反してお勧めしたい作品だ。可愛いウマ娘だけでなくトレーナーの存在にも注目して欲しい。そのことがよりストーリーだけでなくレースをより熱くしてくれるだろう。